ATRインジケーターを使って、利益確定や損切りのタイミングを見極めたいと感じていませんか?
テクニカル指標の中でも、ATR(Average True Range)インジケーターは、相場の値動きの大きさを示す重要なツールです。この指標を正しく使うことで、相場の過熱感を把握し、トレンドの発生や終了のタイミングを見極めることができます。
決済のタイミングを見誤ると、せっかくの利益を損失に変えてしまうリスクがありますよね。しかし、ATRインジケーターを活用することで、そうしたミスを防ぎ、効率よく利益を狙えるようになるのです。
今回の記事では、投資初心者でも分かりやすく、ATRインジケーターの基本から効果的な使い方までを解説します。これまで決済タイミングに悩んでいた方も、ぜひ参考にして、トレードの精度を上げていきましょう!
ATR指標とは?
ATR指標とは、株価の値動きの幅を分析し、価格変動の大きさを測るための指標です。ATR(Average True Range)の略で、直訳すると「平均的な真の値幅」を意味します。
参考:チャート機能 | マーケットスピード II オンラインヘルプ | 楽天証券
相場の変動率を示すテクニカル指標
ATRインジケーターは、相場の価格変動率を視覚化するテクニカル指標です。
設定した期間内の価格変動の平均を基にしたグラフが表示されます。
例えば、上図はTradingViewのチャートで、期間を14に設定しています。これは過去14日間の価格変動の平均値が左上に表示されているという意味です。
グラフはその平均値を連結したもので、上昇している場合は直近の値動きが大きいことを示しています。
つまり、図を見ると、現在は価格の変動幅が拡大していることが分かります。
相場の過熱感が読み取れる
ATRインジケーターは、相場の過熱感を把握するために非常に役立ちます。
「買われすぎ」や「売られすぎ」の判断に役立つため、トレンドの転換点を見極める際に活用できるツールです。
例えば、上図は任天堂(7974)のチャートですが、ATRの数値がピークに達したタイミングで、上昇トレンドが終了し、その後レンジ相場に移行していることが確認できます。
これにより、買われすぎのラインに達し、買いの勢いが収束してきたことがわかります。
利確・損切りラインが決められない人に最適
ATRインジケーターは、利確や損切りのタイミングを決められないトレーダーに特におすすめのツールです。
利益確定や損切りのタイミングに悩んでいる場合、ATRを活用することで、より明確な判断が可能になります。ただし、ATRインジケーターは、必ずしも全てのトレードに不可欠な指標ではありません。
ATRだけで勝つことが保証されるわけではなく、使用するトレーダーが特別多いというわけでもありません。あくまで他のテクニカル指標と組み合わせて使用することで効果を発揮します。
重要なのは、ATRにこだわりすぎず、他の分析ツールとバランスよく活用することです。
複雑な計算式は覚える必要なし
ATRインジケーターの計算式は複雑なため、無理に覚える必要はありません。重要なのは、チャート上に表示される数値やグラフを理解することです。
例えば、期間が14日のATRの計算式は次の通りです:
ATR=(14日前の値幅 + 13日前の値幅 + … + 当日の値幅)÷ 14
この計算式は移動平均線の計算方法にも似ており、ATRでは単純平均や指数平滑移動平均など異なる平均の取り方を選ぶことも可能です。
ただし、実際に計算するのはチャートツールであり、自分で計算式を暗記する必要は全くありません。チャートが提供するデータを適切に読み取ることが大切です。
参考:HYPER SBI NEW チャートマニュアル|SBI証券
ATRインジケーターの効果的な活用方法
ATRインジケーターは、トレンドの把握や価格変動の幅を予測する際に非常に役立つ指標です。ここでは、ATRを使ってどのように相場の動きを見極め、利益を狙うかを紹介します。
ATRの上昇=トレンド発生のサイン
ATRインジケーターが上昇している場合、それは価格変動が激しくなっていることを意味します。この状況では、上昇トレンドや下降トレンドが発生している可能性が高いため、チャートの動きと照らし合わせて確認することが大切です。
例えば、ドル円のチャートでATRが上昇していると、トレンドの発生が示唆されます。ATRが上昇している時点では、相場が活発に動いていることがわかるため、順張りを行うことで、利益を狙うチャンスが広がります。
このように、ATRインジケーターはトレンドの発生を確認するための信頼できる指標として活用できるのです。
ATRの下降=トレンド終了・転換の兆候
ATRインジケーターが下降している場合、それはトレンドの終了や転換が近いサインと考えられます。相場の勢いが弱まりつつある状況なので、このタイミングで手仕舞いを検討するのが賢明です。
例えば、上図のドル円のチャートを見てみると、上昇トレンドの終わりに合わせてATRが下降していることが確認できます。その後、ATRが再び急上昇し、相場は下降トレンドへと転じています。
このように、ATRが下降するタイミングはトレンドの変化を示す重要なサインであり、ポジションを見直すチャンスです。ATRインジケーターを活用することで、相場の転換点を見極め、適切な売買判断を下すことができます。
参考:ATRインジケーターの計算方法や使い方を解説 – IG
ATRインジケーターで値動きの幅を予測できる
ATRインジケーターを使えば、値動きの幅を予測することが可能です。これまでの平均的な値幅が分かるため、その日の相場がどの程度動くかを見積もることができます。
過去の値幅をもとに予測する
例えば、上図の日経225のチャートでは、ある日のATRが565だったとします。この場合、翌日には565円前後の値動きがあると予想できます。実際、翌日の値幅は535円だったため、予測通りおおよその動きが見込めたわけです。
こうして、値幅を予測できることで、トレードの戦略に幅広い応用が利くようになります。ATRを活用することで、相場の動きを見越して、利確や損切りのポイントをより明確にすることが可能です。
ATRの1〜5倍を利益確定・損切りの目安に活用
ATRインジケーターは、利益確定や損切りのラインを設定するための強力なツールです。具体的には、ATRの1〜5倍を基準にして、トレーダーが許容できるリスクに合わせてラインを調整しましょう。
ATRを基準に利益確定と損切りラインを設定
例えば、上図のメルカリのチャートを見てみましょう。仮に「移動平均線が上向いているから上昇するだろう」と予想し、3,000円で株を購入したとします。その日のATRが136.7だった場合、ATRの3倍を基準にして利益確定と損切りラインを設定できます。
ATRの3倍を基準に、利益確定ラインを3,410円、損切りラインを2,590円に設定することができます。
その後の値動きは、以下の通りとなりました。
つまり、3,410円を利益確定ライン、2,590円を損切りラインとして設定することができます。その後、予測通り株価が上昇し、利益確定ラインに達したため、そこでポジションを手仕舞いして利益を得ることができました。
ATRで決済タイミングを見極める
このように、ATRインジケーターを使うことで、適切な利確・損切りのタイミングを掴むことができます。ATRを基準にリスクを管理し、トレードを行うことで、相場の動きに柔軟に対応しながら利益を狙うことが可能です。
ATRのおすすめ設定は「14」
ATRインジケーターの設定では、期間を調整することで異なる数値が表示されます。中でも推奨される設定期間は「14」です。多くのトレーダーがこのデフォルト設定を利用しているため、信頼度が高いとされています。
短期トレードや長期トレードに応じて、時間足を変更することで柔軟に使い分けが可能です。例えば、5分足で見る場合と週足で見る場合では、計算されるATRの値も大きく異なってきます。ATRは14本分のローソク足をもとに算出されるため、利用する時間軸に応じて活用方法を調整しましょう。
参考:ATRインジケーターの計算方法や使い方を解説 – IG
まとめ:ATRインジケーターは決済タイミングに最適なツール
ATRインジケーターは、トレードにおいて決済のタイミングを判断するために役立つ強力なテクニカル指標です。トレンドの発生や終了の兆候も捉えられるため、今後のトレード戦略を立てるうえでの指針となるでしょう。
ただし、ATRだけに頼ると、相場のだましにあってしまう可能性もあるため、他の指標と組み合わせて分析することが重要です。あくまでもATRは、分析手段の一つとして活用するのがベストです。