株式投資において、システムを使ってトレードを行う方法もあります。これは、あらかじめ設定されたルールに従って、自動的に取引を行う仕組みで、投資の自動化を目指すものです。
具体的にどのように活用されているのか、またその利回りはどのように計算されるのでしょうか？
今回の記事では、システムトレードの基本的な仕組みや特徴、そしてそのメリット・デメリットについて詳しく解説します。
システムトレードを正しく理解し、どのように資産運用に取り入れるべきかを見極めてみましょう。
システムトレード（シストレ）とは
引用元:（システムトレード）
システムトレードは、株式やFXなどの金融取引における投資手法の一つで、取引をルール化して、そのルールに基づいて機械的に売買を行うという考え方に基づいています。
具体的には、株価がある一定の条件に達した時に「買う」「売る」といった行動を自動的に実行する手法です。
この方法のメリットは、感情に左右されずに取引できることで、感覚に頼った判断ミスを防ぐ点にあります。
たとえば、「株価が5％上昇したら買い、10％下落したら売る」といった具体的なルールをあらかじめ設定し、どのような市場状況でもそのルールに従って機械的に取引を行うのがシステムトレードの特徴です。
これに対して、裁量トレードは、投資家がその時々の感覚や経験に基づいて柔軟に判断し、取引を行う手法であり、システムトレードとは正反対のアプローチと言えます。
システムトレードは、感情に左右されない合理的な取引が可能で、安定したパフォーマンスを期待できる一方で、市場の予測が困難な状況や突然の変動には対応が難しいというデメリットもあります。
システムトレードの始め方
システムトレードの基本は、株式投資に関わるあらゆる事項をルール化して自動的に取引を行う点です。具体的なルールとして、以下のような要素を定めるのが一般的です。
- 損切りのタイミング: 価格がどれだけ下がったら損切りをするかを設定。
- 取引に投入する資金量: 1回の取引で使用する資金の割合や量を事前に決めます。
- 許容する損失額: 損失が何円に達したらストップするのかを設定。
- 売却のタイミング: 利益を確定するための目標価格や条件を決めておく。
- 分析に使う指標: MACD、ボリンジャーバンドなどのテクニカル指標を選び、売買判断に役立てます。
- 利益率の設定: 何％の利益が出たら取引を終了するかを決めます。
- 資金減少時の対応: 資金が一定の割合まで減少した際、取引をストップするなどの安全策を設定します。
これらのルールを事前に細かく決めておくことで、感情に左右されず、効率的かつリスクを最小限に抑えた取引が可能となります。初心者でも、まずはシンプルなルールを設定し、そこから自分の投資スタイルに合わせてさらに詳細なルールを追加していくのが良いでしょう。
システムトレードのメリット
引用元:（マネックス証券）
システムトレードは、感情や直感に頼らず、冷静で客観的なルールに基づいて取引を行う投資方法です。これにより、相場の急激な変動や予想外の事態にもパニックに陥ることなく、ルールに従って落ち着いた判断ができます。
特に感覚やフィーリングに頼った取引が苦手な方にとっては、取り組みやすい手法です。システムが自動で売買のタイミングを判断するため、トレーダー自身が余計な感情に左右されず、計画的に取引が進められることがメリットです。
さらに、システムトレードは過去のデータに基づいて検証することが可能なので、取引を始める前にルールの効果を確認することができ、リスクを最小限に抑えることが可能です。
機械的に判断できるため原因と結果を導き出しやすい
システムトレードの大きなメリットは、あらかじめ決めたルールに従って取引を行うため、損失や利益の原因を明確に追求しやすい点です。
例えば、取引に失敗して損失が発生した場合、その損失がどのルールによって発生したのかを確認することができます。これにより、感情的に取引を続けるリスクを回避し、冷静にルールを再評価して次の取引に活かすことが可能です。
特に初心者の場合、損失をすぐに取り戻そうとして焦ってしまい、同じ失敗を繰り返してしまうことがよくあります。しかし、システムトレードを活用することで、感情に流されることなく計画的に運用でき、長期的な資産運用の安定につながります。
また、売買タイミングや条件が明確なため、後からルールを見直して改善できるのも大きな利点です。
効率よく買い注文や株の銘柄選びができる
システムトレードでは、銘柄選びの際にも、事前に選定基準をしっかりと定めておくのが基本です。
例えば、株価の一定のパターンやテクニカル指標（MACD、RSIなど）を基準に設定し、その条件に合致する銘柄のみを選ぶというスタイルが一般的です。
これにより、毎回の取引ごとに感覚で銘柄を選ぶ必要がなくなり、システム的かつ効率的に運用が可能になります。
さらに、事前に設定した条件に基づいて、専用のツールを使えば、複数の銘柄を一括でスクリーニングし、取引に適したものを効率的に抽出できます。
自動売買ツールを利用すれば、さらに手間が省け、株の銘柄選定から売買までのプロセスを完全に自動化することも可能です。
これにより、時間を大幅に節約できるだけでなく、感情に左右されない客観的なトレードが実現します。
システムトレードは、効率と再現性を重視する投資家にとって、非常に有用な方法となるでしょう。
人間の感情を排除できる
株取引において結果に大きく影響する要因の一つが「メンタル」です。特に、株価が急に上昇したり下落したりする局面では、冷静な判断を保つのが難しくなることが多いです。
たとえば、上昇トレンドが続いていると、そのまま上がり続けると期待しがちですが、万一株価が下がった場合、その後の対応に迷いが生じ、間違った判断をしてしまうことも少なくありません。
こうした感情の揺れに左右されやすいのが裁量トレードです。裁量トレードでは、トレーダー自身の経験や勘に基づいて判断を下すため、メンタルの状態が直接結果に反映されることがあります。
しかし、システムトレードでは、事前に決めたルールに基づいて取引を行うため、感覚や感情に左右されるリスクが少なくなります。
これにより、冷静かつ客観的な取引を続けることができ、ミスを回避する可能性が高まります。
システムトレードは、特にメンタルの影響を受けやすいトレーダーにとって効果的な手法といえるでしょう。
システムトレードのデメリット
システムトレードには、手動や自動で行った場合でも、いくつかのデメリットが存在します。
たとえば、市場の急激な変動や予測不可能な出来事に対して、事前に設定されたルールだけでは適切に対応できない場合があります。
また、システムトレードのルール自体が過去のデータに基づいて設計されているため、今後の市場の状況が過去と異なる場合には、そのルールがうまく機能しない可能性もあります。
さらに、システムトレードは、あくまで定められたルールに従って自動的に取引を行うため、投資家が市場の変化やニュースに即座に対応する柔軟性が欠ける点もデメリットの一つです。
定期的にシステムトレードのルールを変える必要がある
システムトレードは、一度条件を設定したら永続的に勝率を維持できるわけではありません。株式市場は常に変動しており、各銘柄の状況も時間とともに変わっていきます。
したがって、システムトレードで使っている取引条件も、市場や銘柄の変化に応じて調整しなければならず、そのままでは価格予測が外れるリスクが高まることがあります。
特に、市場の環境が大きく変わると、従来の条件が通用しなくなるケースもあります。
システムトレードを効果的に活用するためには、定期的にシステムをメンテナンスし、条件を見直す必要があるという手間が伴います。
そのため、運用には常に最新のデータやトレンドを踏まえた調整が欠かせないのです。
勝率にこだわり過ぎるとマイナスになる可能性がある
システムトレードでは、勝率は確かに重要なデータのひとつですが、それに過度に注目することは避けるべきです。システムトレードを初めて利用する際、勝率が高いと安心感を得やすいものの、実際には利益が少なく、損失の方が大きくなるケースもあります。
勝率は、たとえば「10回の取引のうち何回利益を上げられたか」を示すもので、金額の大小には関係がありません。一方、実際の利益は「10回取引した結果、どれくらいの収益が得られたか」という総額に焦点を当てています。
たとえ勝率が80％であったとしても、1回あたりの利益がわずか1,000円で、目標利益が10万円であれば、効率的なトレードとは言えません。そのため、勝率よりも、取引全体での利益を重視することが成功につながると言えるでしょう。
このように、システムトレードでは、勝率を指標の一つとして参考にしながらも、最終的な利益を考慮した戦略を立てることが大切です。
システムを言い訳にしてしまうことがある
裁量トレードでは、自分の判断で売買を行うため、損失が出た場合でも自己責任として受け止めやすい傾向があります。
しかし、システムトレード（シストレ）の場合、取引は感情を排除して自動化されたルールに基づいて行われるため、損失が出てもそれを「自分事」として考えにくく、次回のトレードに活かしにくいという側面があります。
システムトレードの真の利点を引き出すためには、システムを自分自身で選び、設定を調整したという意識を持ち、その結果を分析し、改善し続ける姿勢が重要です。
こうしたプロセスを怠ると、システムトレードを使っていても継続的に利益を上げることは難しくなるでしょう。
まとめ
システムトレードとは、感覚や直感に頼らず、過去のデータやあらかじめ設定したルールに基づいて取引を行う投資手法です。
取引の際に感情に左右されることなく、冷静な判断を下せることが特徴です。
しかし、すべてが自動化されるわけではなく、継続的なメンテナンスやルールの見直しが必要となります。これが投資家にとっては一つの挑戦となります。
一方で、もしシステムトレードが自分には合わないと感じる場合は、裁量トレードを選択することも一つの手です。
裁量トレードでは、相場状況や個々の判断に基づいて取引が進められ、自分の感覚や経験を駆使して取引のタイミングを決めることができます。
技術向上には正しい学習方法が重要であり、自分に適した学び方を見つけることが成功のカギとなるでしょう。
システムトレードにも裁量トレードにもそれぞれ長所と短所があるため、どちらを選ぶにしても自分に合った方法を見つけ、常に自身のトレードスタイルを見直していく姿勢が大切です。
